「食欲が止まらない」「生理前の食欲がヤバい!」など、普段から何気なく使っている「食欲」という言葉。
よく使うわりに、
- 食欲ってどういう仕組みでわいてくるの?
- なぜ食欲をコントロールするのはこんなに大変なの?
などについては、よく分かっていない人がほとんどだと思います。
そんな「食欲」の謎を解き明かし、「どうすれば食欲をコントロールして、食べすぎ&肥満を防げるのか?」を科学的に教えてくれるのが、書籍「科学者たちが語る食欲 食べすぎてしまう人類に贈る食事の話」(サンマーク出版)です。
つい一気読みしてしまう面白さ&美容やダイエットにかなり役立つ内容だったので、読んだ感想と要約をまとめておきたいと思います。
人間には5つの食欲がある
「食欲=胃の中が空っぽになるとわいてくる」イメージですが、これは全くの誤解なのだそう。胃を全摘出した人でもお腹は空くし、食欲は感じるとのこと。
じゃあ食欲は、いったいどんな時にわいてくるのか?というと、「栄養が不足すると、食欲がわいてくる」というのがその答え。
栄養にもいろいろあるけれど、人間においては下記の5つの栄養素のうち、どれかが不足すると食欲のスイッチが入るようになっています。
- たんぱく質
- 炭水化物(糖質)
- 脂質
- ナトリウム(塩)
- カルシウム
- たんぱく質が不足すると「たんぱく質の食欲」がわいてきて、たんぱく質を含む食品(焼肉とか)を食べたくなる
- 炭水化物が不足すると「炭水化物の食欲」がわいてきて、炭水化物を含む食品(ケーキとか)を食べたくなる
というように、人間には5つの食欲が備わっているというわけです。
たんぱく質欲を満たすことがカギ
ただし、この5つの食欲には「たんぱく質欲を最優先にする」という序列があります。
- たんぱく質が足りている時:いくら炭水化物や脂質が不足していても、それ以上食欲がわいてこない
- たんぱく質が不足している時:すでに炭水化物や脂質で十分なカロリーをとっていても、食欲が収まることはない
つまり人間は、必要なたんぱく質を摂取し終えるまでは食べ続けるし、たんぱく質欲さえ満たされれば、総摂取カロリーが不足していても食べるのを止めるようにプログラミングされているということ!
これってすごい発見だなと思う半面、納得感もあるなあと感じます。お肉って腹持ちいいし、プロテインは液体のわりに満腹感が持続するし。逆にパンだけの食事だと、すぐお腹が空いてきてしまいます。
たんぱく質の必要量をきちんと摂取し、たんぱく質欲を満たすことが、食欲の暴走=食べすぎを防ぐカギということですね。
食物繊維は空腹感を抑える
とはいえ、毎日毎日、たんぱく質の必要量をクリアするのは大変です。忙しくて1日2食しか食べられない日もあるし、家にシリアルしかない日だってあるし……。
そんなときに役立つのが「食物繊維」です。食事繊維は胃で膨らむため、たんぱく質不足による食欲を和らげてくれる効果があるそう。
食物繊維は胃で膨潤し、消化速度を遅らせ、腸内微生物の餌になる――これらすべてが組み合わさって、空腹感を抑える効果がある。
「科学者たちが語る食欲」より引用
わたしはよく朝食に、お通じを良くする目的でプロテインを入れたオーバーナイトオーツを食べているのですが、ダイエットの観点からも効果的なメニューになっているようで嬉しい限りです!
「超加工食品」はダイエットの敵
ここまでの内容をざっくりまとめると、「たんぱく質と食物繊維の豊富な食事が、食べすぎ=暴食を防ぐ」というシンプルな法則が浮かび上がります。
でも、美味しくてつい食べすぎてしまうものって、たいていはこの真逆ですよね。アイスとか、ポテチとか、ジュースとか……。
「科学者たちが語る食欲」では、こういったたんぱく質と食物繊維が少ない食べ物のことを「超加工食品」と呼び、もはや工業製品の一種である(!)と位置づけています。
超加工食品は栄養素に乏しく、大量に摂取しないと食欲を満たせないので、食べすぎ&不健康につながるダイエットの大敵。
反対に、フルーツや野菜、フレッシュチーズなど、加工度の低い食品を丸ごと食べることが健康の秘訣になります。
必要なたんぱく質量の計算方法
こうして本を読み進めるにつれ、気になってくるのが「じゃあ自分の場合は、どのくらいの量のたんぱく質をとればいいの?」という疑問。
1日に摂取すべきたんぱく質の量は、性別や年齢、体重、運動量などにより変わります。たんぱく質の必要量の計算方法は本の最後に書いてあるので、気になる人はぜひ本を手に取って、実際に計算してみてください。
ちなみに、身長165cmアラサー女性のわたしの場合、1日に必要なたんぱく質量は70g弱とのこと。たんぱく質70gは、卵なら約12個、鶏むね肉なら約300g分です。予想以上に多い!
普通の食事だけでは、とても70gものたんぱく質をとれている自信がありません。だからつい、間食してしまうんだろうなあと反省……。今後は今まで以上にたんぱく質を意識して、食べるものを選んでいきたいと思います。
食欲コントロールの15のヒント
「科学者たちが語る食欲」の巻末では、摂取すべきたんぱく質量の計算方法の他に、「食欲をコントロールし、ヘルシーな食生活を送るための15のヒント」も掲載されています。
一部を抜粋すると、こんな感じ↓
- 自分に必要なたんぱく質量を把握する
- 「超加工食品」を避ける
- 「高タンパク質食品」を食べる
- 「繊維」を食べる
- 「カロリー」信奉をやめる
- 食べ物を「混ぜ物」にしない
- 「空腹」のときに食べる
- 「塩味」がほしいことの意味を知る
この他にも役立つアドバイスが続いていて、書籍の内容を総まとめしたようなリストになっています。この部分だけでも定期的に読み返して、食事の管理に役立てたい!
また、今回のブログ記事では「食欲」と「たんぱく質」の関係にフォーカスして書籍の概要をまとめましたが、実際にはもっと幅広い内容にふれています。
- 炭水化物と脂質はどのくらい摂取するべき?
- 長生きするにはどんな食事がいいの?
- 低糖質ダイエットってどうなの?
- 歳とともに食事は減らしていくべき?
などなど、面白いトピックが盛りだくさん。専門用語や難し言い回しもないので、ワクワクしながら一気読みしてしまいました。
ダイエットや体型管理に関心のある人、食生活を整えたいと思っている人に、ぜひオススメの1冊です。