早いもので、このブログを始めてから5年が経とうとしています。これまでも何度かブログは作ってきたけれど、こんなに続いたブログは初めて!
どうしてここまで継続できたのか?最近ぼんやり疑問に思っていたら、ぴったりの回答=つまり、「どうすればブログを続けられるのか?」のヒントが満載の本に出会いました。
千葉雅也、山内朋樹、読書猿、瀬下翔太の4名による書籍「ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論」です。
「書けない」悩みを哲学しよう!
「ライティングの哲学」は、「書くこと」が欠かせない職業に就いている4人による、主に対談形式の書籍。
書くのが苦しい4人と一緒に「書けない」悩みを哲学しよう!
「書き出しが決まらない」「キーボードに向き合う気力さえ湧いてこない」「何を書いてもダメな文章な気がする」……何かを書きたいと思いつめるがゆえの深刻な悩みが、あなたにもあるのではないでしょうか? 本書は「書く」ことを一生の仕事としながらも、しかしあなたと同じく「書けない」悩みを抱えた4人が、新たな執筆術を模索する軌跡を記録しています。
星海社ホームページより
よくある「文章の書き方指南書」との最たる違いは、
- 良い文章を書くコツ
- ●●な文は読みにくい
- NGな書き方5選
などのわかりやすい文章術を教えるものではなく、書くことに対するスタンスや、心構えなどについて考えさせられる構成になっているところ。
過去にブログを続けるのがしんどく感じた時期があり、なんとかスランプを打破するべく文章術の本は何冊か読んでみたけれど、ことブログの「継続」「モチベーションの維持」においては役立ちませんでした。
その時は結局、気合いで乗り切ってブログを継続したのだけれど、あの時に「ライティングの哲学」に出会えていたらどんなに良かったか!当時のわたしはブログが続かない原因はモチベーション不足だと考えていたけれど、それが誤りだったことが今ならハッキリわかります。
ブログを書き続けるのに必要なのは、モチベーションの有無以前に「書くことのハードルを下げること」「脱完ぺき主義」だということが、本書を読んですんなり腹落ちしました!
具体的にどういうことなのか、「ライティングの哲学」を読んで心に響いた3つのキーワードとともに紹介します。
「書かないで書く」
「ライティングの哲学」を読み始めてすぐに、それそれ!と共感したのが「書かないで書く」=「規範的なやり方で書こうとしない」こと。
かつてのわたしは、以下の条件が揃った状態からでないとブログを書き始められない人間でした。
- ある程度まとまった時間がとれるタイミングで
- 机に座ってPCを開き
- 何を書くかのネタを決めた状態から
……って、真面目か!何かと忙しい日々のなかで、こんな条件が揃う日を待っていたら筆が進まないのは当たり前です。
たとえば移動中のスキマ時間に、スマホで何となく考えていることを箇条書きにするだけでも、意外と文章は出来上がっていくもの。まとまった時間を確保してPCに向かうことをブログ執筆の条件にしないだけでも、かなり書くことのハードルは下がります。
あらかじめブログの構成やネタのメモを作ってから記事作成に進む……という方法も、合理的なようで実は遠回り。メモと本文を区別せずに、メモするように本文を書いて良いんだ!というのは本書から得た発見の一つです。
自分の中の「書くことへの構え」を一つひとつ取り払っていくことで、ブログを書き始めるのが随分ラクになりました。
散文的になることを恐れない
ブログ記事というと、きちんと構成が練られていて、何らかのオチやまとめが必要と思いがちだけれど、これも実は思い込み。
フリーライティング的に、思いついたことをとりあえず書いただけの文章をそのままUPしても何ら問題ないし、むしろその方が書き手の思考をなぞれて面白い記事になる可能性も!
深く考え込まずにダーーッと書いた文章でも、意外と読み手に伝わる内容は多いんだなと感じます。
何より、とりあえず頭の中にあるものを書いてみることで、思考が進んで、より書けるようになる……という経験はすごく多くて。散文的でいいから、とりあえず頭の中身を外に出すことの重要性は大きいと思います。
他にも本書では、
- 接続詞で悩んだりもするが、「ふたつのことをごろっと繋げるだけで、人はそれをなんとなく読んでしまう/意味は通る」
- ぼそっとした文が、その書き手の味になることもある
などの指摘もあって、「たしかに」「わかる~!」の連続でした。とくに「書き手の味」については、chatGPTなど文章作成が得意なAIが今後ますます増えると見込まれる中で、今まで以上に価値が重くなっていきそうです。
自分に素直に。かっこつけない
山内氏が自身の執筆を振り返るなかで、印象的だったエピソードがあります。ざっくりまとめると、こんな内容です↓
原稿に行き詰ってしまい、何日間も停滞したことがあった。停滞を抜けたミソは、自分に正直になったこと。自分の考えたストーリーに無理に当てはめようとして、違和感が生じ、書き進められなくなっていた。プロットを意識せず、正直に書き直してみたら難所を抜けられた。
ドキッとするほど身に覚えのある話だったから、深く共感するとともに言語化してもらってスッキリ!きれいにまとめるつもりで事前に作っておいた構成と、実際に書き始めた内容が乖離してきてしまって、辻褄が合わずにそれ以上進めなくなる……という経験はこれまで何度もしてきました。
無理してかっこいいブログにしようとするから違和感が生じるわけで、はじめから構えず素直に、身の丈でありのままの文章を書いていれば良いんですよね。
似たような文脈で出てきた、「推敲しすぎないほうが良い」というフレーズにもハッとさせられました。「無くても意味の通る文字をすべて削った後に残るものが良い文章」と考えていた時期もあったけれど、そうするとブログはどんどん味気なくなってしまいす。
ブログの面白さは、アマチュアの個人が素朴な視線で書いていることにあると思うから、多少の冗長性はむしろ魅力になるはず!
書き手の人柄が見えるブログは読む側としても大好きだし、「きれいな文章に整えなくても良いんだ」と思うと、ブログを書くハードルもぐっと下がります。
ブログ継続にモチベーションは必要ない
- 書かないで書く
- 散文的になることを恐れない
- 自分に素直に、かっこつけない
これらのキーワードを通じてわたしが受け取ったのは、「脱完ぺき主義」というメッセージ。
「ちゃんとした、実のあるブログを書かなくちゃ!」などと無意味なハードルを課すからモチベーションなんてものが必要になるワケで、「考えはまとまってないけれど、とりあえず頭の中を文字に起こしてみようかな〜」くらいのノリで良ければ、もっと気楽にブログを書けるはず。
突き詰めれば、ブログを書き続けるのにモチベーションなんて必要ないんですよね。
上記で紹介した3つのキーワード以外にも、「ライティングの哲学」には勉強になったり、共感したり、単に読んでいて面白い内容が盛り沢山。読んでいると、どんどんブログを書きたくなってきます!
とはいえ今後もスランプに陥り、「ブログを続けるモチベーションが保てないよ〜」などと血迷った思考にはまることは無くならないでしょう。そのたびに本書を読み直して、「書くことへの構え」「無意味な完ぺき主義」を打ち消していこうと思います。